空冷と簡易水冷で冷却性能に違いがある事を知っていますが、具体的にどのぐらいの差が存在するか確認をしました。
空冷は、ツインタワー型のクーラーを利用しました。
簡易水冷は、ラジエーターサイズ360mmのものを利用しました。
簡易水冷に対し、大型の空冷がどの程度まで冷却できるか注目です。
本ブログでは過去、空冷クーラーでRyzen9 9900Xを検証できるか検証しています。「Ryzen9 9900Xは空冷クーラーで利用できるのか?」をご参照ください。
本記事では、Ryzen9 9900Xを使っています。CPU冷却で、空冷と簡易水冷のどちらにしようか考えている方のご参考となれば幸いです。
検証で使ったPC構成
冷却性能の検証は、以下のPC構成で行っています。
CPUクーラーは2つ利用しています。紹介は、「利用するCPUクーラー」をご参照ください。
- CPU:Ryzen9 9900X
- メモリ:64GB
- GPU:RX7900XTX 24GB
- PCケース:H7 Flow(2022)
利用するCPUクーラー
空冷:NH-D15
空冷の中で大型に分類されるCPUクーラーです。
ツインタワーのヒートシンクを持ち、冷却に使っているファンのサイズは、140mmです。140mmファンを2つ取り付け、冷却します。

大型空冷ファンを利用する場合、取り外しに手間がかかります。CPUクーラーが大きい事から、GPUを取り付けた状態では外すことができません。そのため、CPUクーラーの取り外しでは、必ずGPUを外す必要があります。
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簡易水冷:Liquid Freezer III – 360
360mm簡易水冷は、大型の簡易水冷に分類されます。420mmサイズの次に大きなサイズです。

ウォーターブロックのサイズが小さく、取り外しが簡単です。周囲にグラフィックボードがあった場合でも、十分なスペースが確保できているため、ウォーターブロックの取り外しが簡単です。
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検証内容
空冷と簡易水冷の冷却性能の検証では、以下のベンチマーク起動中のCPU温度を計測します。
- CINEBENCh R23(シングル、マルチ)
- モンスターハンターワイルズ(レイトレーシング無、4K、フルHD)
- FF14 黄金のレガシー(フルHD)
- FF15(4K、フルHD)
CPU温度計測結果
各ベンチマーク実行中のCPU温度計測結果をグラフに示しています。
ベンチマークは、連続で実行しています。途中で冷却のため、時間を置く事はしていません。
また、冷却ができているかどうかの目安は以下を基準としています。
- 通常時:40度~70度
- 負荷の高い時:80度を超えない
- 90度を超えは、不安定な挙動となる恐れありがあるため、注意
CINEBENCH R23
シングル、マルチそれぞれで、10分間計測しました。


結果、シングル、マルチ共に常に簡易水冷が空冷の温度を下回っていました。ただし、シングル、マルチの温度差は1度~2度程度がほとんどです。
マルチの終盤に温度差が大きく見える場所がありますが、差は5度以内です。温度差は大きくなく、空冷でもしっかりと冷却できる事が分かります。
モンスターハンターワイルズ
レイントレーシング、画像生成なしで、解像度、フルHD(1080×1920)と4K(3840×2160)を計測しました。


フルHDと4K共に、温度差が10度以上発生する場面があります。
空冷で90度近くの温度が出ている場面でも簡易水冷では、80度程度で冷却しています。
フルHD、4K共に中盤と終盤の一部に空冷と簡易水冷で、温度差の低い場面がありますが、前半と終盤のほとんどの場面で、空冷と簡易水冷で温度差がはっきりとしています。
重いゲームでは、簡易水冷と空冷の温度差がしっかりと発生しています。
FF14 黄金のレガシー
解像度、フルHD(1080×1920)にて計測を行いました。

CPU温度の差は、場面によって大きく差が発生しますが、ほとんどの場面で差が5度以内に納まっています。
空冷が簡易水冷と同じ温度の場面もあり、空冷との差があまり発生しない印象です。
比較的軽いゲームのため、温度差が発生するほどの負荷がかかっていない事も考えられます。
FF15
解像度、フルHD(1080×1920)と4K(3840×2160)にて計測を行いました。


4Kでは、場面によって、10度以上の温度差が見られます。一方で、フルHDでは、安定して5度前後の温度差です。
4Kは、簡易水冷の冷却性能の冷却性能が見られる結果です。一方、フルHDは、空冷と簡易水冷で差があるものの、差が5度程度で、空冷でも十分冷却できている印象です。
検証結果
比較的重いといわれるゲームタイトルでは、空冷と簡易水冷で、CPUの冷却に差が現れます。
一方、軽い負荷のゲーム、普段使いであれば、温度差が5度以内に納まる場合が多く、空冷が簡易水冷と大きく変わらない冷却性能を発揮しています。
今回検証した範囲では、温度が90度を超える場面が無く、Ryzen9 9900Xは、空冷でも十分に使えます。ただし、大半の場面で、簡易水冷の方が空冷より温度は低い状態です。
そのため、冷却性能を重要視し、常に最善の冷却をしたい場合は、簡易水冷の選択です。
備考:静音性はどっちが良い?
体感の話となりますが、空冷では、ファンのブオーという音が大きく、冷却中に気になっていました。一方で、簡易水冷では、ファンの音はしますが小さく、うるさいと感じる場面が少ないです。
音の原因は、ファンの大きです。
今回利用した空冷クーラーは、140mmのファンを利用しています。また、簡易水冷では、ファンサイズが120mmを利用しています。このファンサイズで、冷却中の音の大きさに違いが現れます。
まとめ
事前に分かっていた事ですが、簡易水冷の方が空冷よりも冷却性能が高いです。ただし、Ryzen9 9900Xの冷却が、空冷では冷却できないというわけではなく、簡易水冷の利用で、より冷却ができると言えます。
利用中のファン音は、簡易水冷の方が静かなため、快適さは空冷よりも高いです。
そのため、簡易水冷を選べば、PCの利用中に静かで十分CPU冷却ができ、快適なPC利用環境が出来上がると言えます。
ただし、簡易水冷の寿命は、一般的に3年~5年と言われ短く、利用期間の途中で簡易水冷を交換する可能性があります。
簡易水冷の冷却性能劣化は、簡易水冷に使っている冷却液の減少が原因の1つです。PCの利用頻度が高く、長時間電源を入れている等の場合、簡易水冷の劣化は早いです。
CPUクーラーの選択で簡易水冷と空冷どちらを選ぶかは、「利用中の静音性と冷却性」か、「長期利用を取るか」の選択です。
本記事が、空冷と簡易水冷どちらをCPUクーラーとして採用するか悩んでいる方の参考となれば幸いです。
以上です。